病院が倒産?医療も経営手腕が問われる時代
特に2009年は診療報酬の引き下げから病院の倒産ペースが過去最高になり、それから少しは改善したものの、病院や診療所の倒産は年々少しづつですが増加傾向にあります。
今は医師も経営に苦労する時代、その理由の一つは患者数の減少です。
これは病院や診療所があまりにも増えてしまったことから患者が様々な病院にうつっていくことが原因の一つです。
特に厳しいのは歯科医院であり、首都圏や都心などにおいては過密状態となっているほどで一部のエリアでは患者の多い診療所とほとんど患者のこない診療所に二分されてるほどです。
銀行マンの間では歯科医師のことを「落下傘部隊」つまり一度下りたら上がってこれないと揶揄する声もあるほど経営手腕のある歯科医院だけが生き残る時代となっています。
資金繰りに失敗
別の記事でも書きましたが、今は銀行もあまり病院に対して貸付を積極的に行っていません。
診療所の中には資金繰りがうまく行かず閉院する病院もあるほどです。
そもそも病院や診療所の場合、レセプトの遅れも経営をひっ迫する理由の一つです。
社会保険診療報酬の7割分のお金が医院に入ってくるのは2カ月後になるためその月は患者さんが多くても、そのお金は2か月間手元にない状態です。
この経営状態で機械が壊れた、病院の立て直しが必要になった、税金が思ったより高かったということで資金繰りに困るドクターは数多くいます。
このようなことがないようにドクター自身も決算書などの中身をしっかり把握しておくことが必要です。
ちなみに最近多いのですが、医療機器を購入して、
「今年は一千万の機械を購入したから経費がかかり、税金が安く済んだ」と思っていても耐用年数10年の医療機器の場合、1000万円で購入した場合は1年に100万円しか経費として計上できないのです。
結果として思っていたほど経費としてならず、想像以上に税金が高くなってしまってびっくりされるドクターもいらっしゃるのでご注意ください。
患者が病院を選べる時代
また診療所なども同じ状態で、従来のように地域に根付くだけではなく、清潔感のある外観、サービス感のある対応など医師の対応までもが今や求められています。
このようになった理由としてはインターネットの普及があげられます。
最近では「この病気ならこのような治療が必要」「薬はあっちの方がよい」「あの病院は医師の腕が良い」
このようなことが一瞬でわかってしまう時代です。
また病院そのものの評価も今はすぐにわかります。
インターネットの地域サイトではその病院の口コミが患者さんが直接書き込めることでその診療所の対応や評判が一目でわかる状態です。
筆者もやはり病院に行く際は近隣に歯医者がいくつもあり、どこの歯医者が評判が良いかどうか調べてから行くようになりました。
それほど歯科医師や医師は今患者から選ばれる時代となり、経営手腕が非常に求められているのです。
また、地方ではまだ医師不足の地域もたくさんあり、そのような地方に移り住むことで経営を立て直すドクターも最近は増えています。
以前と違い医師同士も横のつながりが減っていることから情報が一部の経営者のみに偏ってることもありますが、今後の病院経営は様々な情報を活用し、経営をすすめていくというのも大事な運営方法の一つと言えます。
最も多い閉院理由は後継者不足
経営の問題以外にも閉院の理由として最も多いのは後継者不足や医師の高齢化によるものです。
実は閉院してる病院の6割以上は60歳以上の医師が経営、または在籍しており医師も高齢化の時代になっているということです。
対策としては最近では「病院運営受託」やというシステムがあり、経営手腕のある理事長や院長を紹介してくれるサービスもありますが、実際のところ、やはり知人や親族にあとを継いでほしい、自分の代で終わらせたいという病院経営者も多く、そこまですすんではいないようです。
また、最近増えてるのが第三者継承事業と言われるもので、高齢によって閉院を検討してる医療経営者が、新たに診療所を開設したいと希望する人に病院をまるまる売ってしまうようなDtoDの取引も増えています。
これは病院を売る側としては、自分の病院を買い取ってくれるので老後の資金ができ、さらに病院そのものも残るメリットがあり、買う側もすでに病院を開設したり、機材を購入する資金が安くできる、さらに患者もある程度ついており、場合によってはスタッフもわざわざ雇う必要がないという素晴らしいメリットがあります。
しかしこの第三者継承の問題点として、売り手側があまりにも高齢の場合、顧客層も減ってしまっていたり、機材や診療所そのものが老朽化してしまってるなどのデメリットもあることを覚えておかなければいけません。
新人医師が増える一方ベテラン医師などが減ってしまうという状況も今後見直していかないといけないかもしれません。